スピリチュアリズム

スピリチュアリズム

短編小説

第9話
スピリチュアル & スピリチュアリズムB
― スピリチュアリズム ―

待ち合わせた喫茶店へは時間より少し早めに行ったのだが、加藤さんはすでに来て待っていてくれた。
唯香: すみません、お待たせしました。
加藤: やあ、思ったより早かったですね。
とりあえず自己紹介したものの、何から話そうかドギマギしてると、加藤さんの方から切り出してくれた。
加藤: 僕に聞きたいことって何だろう。
僕は自称スピリチュアリストだから、スピリチュアリズム以外の話だとうまく話せないと思います。
唯香: スピリチュアリズム? スピリチュアルじゃないんですか?
加藤: 同じように考えている人が多いようだけど、僕にとっては違うんです。
共通するところは多いけれど、違う部分があるんですよ。
僕の中では、スピリチュアルはニューエイジと同じなんです。
唯香: ニューエイジ? って何ですか?
加藤: 前にベトナム戦争があったでしょ。
日本は直接関与しなかったけれど、酷い戦争でした。
アメリカの若者の間で反戦運動が盛んになって、戦争で世の中を良くすることはできない、という声が上がってきたんです。
その人たちは独特な服装と生活形態をしていたので、ヒッピーと呼ばれるようになったんですけどね。
そのヒッピーたちは、当時の政治体制とか、物質消費主義にも反発して、自由で人間的な生き方、精神世界を求めて広がっていったんです。
その象徴となったのが、ミュージカルの 『 ヘアー 』 とか、 『 カモメのジョナサン 』 だったんです。
スピリチュアルというのは、そうしたヒッピーたちから始まったと言われています。
キリスト教の形骸化した教えを捨て、宗教に頼らずに、自由で新しい精神世界を求めたところから、ニューエイジって呼ばれるようになったらしいんですが。
唯香: へえー、そうなんだ。
加藤: ニューエイジから始まって、それから裾野がどんどん広がって、スピリチュアルという形になっていったんです。
チャネリングもそうだけど、オカルト、リーディング、オーラ、ソウルメイト、潜在能力の開発、自己啓発、ヨガ、占星術、パワーストーン、パワースポットなど、数えきれないほどの分野に広がって、科学で証明できないことは全部スピリチュアルと言われるようになりました。
そういう意味では、「 宗教 」 も 「 スピリチュアリズム 」 も 「 スピリチュアル 」のカテゴリーに入ります。
スピリチュアルというのは、すごく幅が広いんですよ。
唯香: そうなんですか。
加藤: とは言いつつ、最初に言ったように、僕はスピリチュアリストですから、「 スピリチュアリズム 」 が 「 スピリチュアル 」 と同じに見られるのには、いささか抵抗があるんです。
僕の中では決定的に違うんですよ。
唯香: 何が違うんですか?
加藤: 似ているというのは、違うということだというのは分かりますよね。
精神世界を求めることとか、死後の世界がある、自己を啓発する、というのは同じなんだけど、根本的なところが全く違うんです。
ひと言でいうなら、スピリチュアルは 『 利己 』 で、スピリチュアリズムは 『 利他 』 というところかな。
唯香: もう少し詳しく教えてもらえますか。
加藤: スピリチュアルは、自分の幸せを追及していく思想だから、他人はどうであれ、自分の人生が自由で開放されたものであればいいんです。
それに、アクエリアスがどうの、宇宙人がどうの、インディゴがどうのと、荒唐無稽で根拠のない話も多いんです。
唯香: スピリチュアルの本を何冊か読んだんですけど、掴みどころのない感じを受けたのは、そういうことだったんでしょうか。
加藤: そうだと思います。
それに、スピリチュアルというのは、自分にとって都合の良い現世利益を求めるものが多いんですよ。
だから、スピリチュアル詐欺とか霊感商法なんてのが後を絶たないし、騙される人も多いんです。
唯香: 確かに、霊感商法で騙される人って多いみたいですね。
加藤: パワーストーンって知ってますよね。
運気が上がるという石を日本人全部が持ったら、日本が変わると思いますか?
ホームレスに金運が上がる石をたくさんあげたら、ホームレスから抜け出せると思いますか?
そんなに簡単に抜け出せるなら、誰もが飛びついていますよ。
パワーと名がつくものは、だいたい欲望パワー、邪霊パワーでもあるんです。
人間の持つ欲望に、邪霊とかイタズラ霊、未熟霊などが引き寄せられて来るんですよ。
唯香: あ、あのう・・・ 私、パワーストーンを買いました。
パワースポット巡りもしました。
加藤: それで何か変わりました?
唯香: パワースポットに行った時は、失くしたと思っていた時計が出て来たのですごく喜んだんですけど、目に見えて良いことはそれっきりです。
今思えば、他は何も変わってないような気がします。
加藤: だいたい、パワースポットというのは、邪霊とかイタズラ霊が関与するからパワーがあるんです。
唯香: 邪霊というのは悪いことをするんでしょ。
でも、時計が見つかったということは、邪霊じゃなくて、善霊の力じゃないんですか?
加藤: 邪霊とか未熟霊というのは、同じバイブレーションの人のところに吸い寄せられるように憑きます。
だから、パワースポットだけでなく、神社やお寺に行く人は、自分の利益のために行きますから、その人と似たような邪霊が憑きやすいんです。
その邪霊にも、時計を見つけるぐらいの力はあります。
むしろ、そうやって目先の利益をもたらすことで信じさせて、あとで一気に落とすのが常套手段なんですよ。
ギャンブルの世界に、ビギナーズラックというのがあるでしょ。
あれです。
だいたい、善霊は地上の1か所にはタムロしないし、目先の利益は害になることを知っているから、最初から与えたりしないんです。
唯香: じゃあ、「 チャネリング 」 とか 「 リーディング 」 というのはどうですか?
加藤: 「 類は友を呼ぶ 」 という言葉がありますね。
それは摂理だから、地上でも霊の世界でも同じです。
つまり、チャネラーは、自分の魂とほぼ同等か、それ以下のバイブレーションの霊しか呼べないんです。
チャネリングの内容を聞けば、チャネラーの霊格が分かってしまいます。
リーディングは、霊能者がイメージで見たことを言葉にしますから、事実かどうかは本人にもわからないと言います。
それぐらい、不確かなものなんですよ。
唯香: そ、そうなんだ・・・
そんなことに興味を持ってハマった私って、ダメ人間ですね・・・
加藤: ダメ人間とかそういうのじゃないです。
段階だと思ってください。
小学生と大学生を比べて、小学生はダメ人間で、大学生は良い人間だと思いますか?
そうじゃないでしょう。
どんな体験も、次の体験への踏み石になります。
唯香さんはスピリチュアルを体験したんだから、次に進むことでよりはっきり 「 スピリチュアル 」 の正誤がわかるようになります。
それまでのことが間違いだと気が付けば、正しいことを得ることができますからね。
唯香: よかったー。
私は今、成長する段階にいるってことですね。
加藤: 唯香さんに限らず、僕も含めて、どの人も成長過程なんです。
ただ、どの段階にいるかは人それぞれで、年齢は関係ありません。
唯香: 加藤さんが言っていること、なんとなくわかります。
加藤: それと、世の中でよく言われる 「 自分を愛する 」 とか 「 自分を信じる 」 という抽象的な言葉もスピリチュアルの特徴なんです。
「 自分を愛せない人が他人を愛せるはずがない 」 ってよく言うでしょ。
摂理からするとね、それは逆なんです。
唯香: え? 逆なんですか?
加藤: ええ、逆なんです。
「 愛する 」 というのを別の言葉に置き換えると 「 大切にする 」 になります。
家族より自分を大切にする人はワガママな人です。
極端な言い方をすれば、家族を不幸にしてでも自分が幸せになりたいという人です。
でも、自分より家族を大切にする人は、家族から大切にしてもらえます。
家族全員が、自分より相手を大切にすることで、お互いがなくてはならない大切な存在になるんです。
これは家族だけでなく、地域とか国とか人種にもすべて言えることです。
唯香: なるほど・・・
加藤: 会社でもそうだけど、発展している会社は、先に外に目を向けて、自社の内部を固めることは後回しにします。
なぜかと言うと、外に目を向けていると、必然的に内部の欠点が明らかになり、その欠点を補おうとして団結心が強くなって内部も充実します。
でも、社内ばかりに目を向けていると、外には目を向けなくなるから、外のことも見えないし、それどころか社内の欠点ばかりが見えてきてしまって、それを無くそうと躍起になります。
すると、発展するどころか意見が対立して、分裂して衰退してしまうんです。
唯香: なるほど、良くわかります。
加藤: 勉強だって同じです。
自分1人で勉強しているより、他の人に教える方が理解が進むし、教えている自分の方が何倍も学習が進むのを体験したことはないですか?
唯香: あります! あります!!
自分1人で勉強したことって、時間が経つと忘れてしまうけど、友達に教えたことって、ずっと頭の中に残っていて、良い点が取れたことがありました。
それに、友達に教えようと思うと、頭をフル回転しなくてはいけないし、友達に教えていたけれど、自分の方が勉強になってました。
加藤: そうなんです!
それに、人に教えていると自分の学習の弱いところがわかってくるから、そこも強化できるしね。
人は、愛される人より、愛する人の方が、何十倍も成長できるんです。
「 利他 」 の素晴らしさは誰でも体験しているし、至る所で証明できる事実なんです。
これが 『 神の摂理 』 です。
唯香: そうかあ、私も体験してたってことですね。
加藤: それと、「 スピリチュアル 」 と 「 スピリチュアリズム 」 では、目的が違うことがわかってきます。
スピリチュアルは、自分を浄化すること、自分の運勢が上がること、健康とか友情とか金運とか、恋愛運が良くなることを願っています。
結局は自分の現世利益が中心だから、ご利益宗教と大して変わらないんですよ。
唯香: ご利益宗教と変わらない・・・ですか・・・
加藤: もちろん、中には素晴らしい精神世界を語っている人もいるし、素晴らしい書物もあります。
同じ仏教でも、開祖と言われる人が悟って書き記した経典は利他の大切さを説いていますが、なぜか時がたつにつれて大切なことがないがしろにされて、利益を優先しているお寺が多くなりました。
ご利益宗教と言われる所以です。
唯香: スピリチュアルの人の中には、利益を度外視して、他の人を浄化するために動いている人もいるんじゃないかと思うんですけど。
加藤: 思うんですけど・・・ ということは、あなたが思っているだけで、確認したわけではないんですね。
まあいいです。
もし、自分の現世利益を一切求めずに、他人の浄化の手助けをしている人がいるとしたら、その人はスピリチュアリズムの領域にいる人です。
唯香: なるほど、そういうことですか。
加藤: それに、スピリチュアルでは、苦労とか苦難は不幸だという認識になるけれど、スピリチュアリズムでは、『 苦しみは試金石 』 と考えます。
スピリチュアリズムでは、成長することが目的だからです。
順風満帆に行っている時に学べることはほとんどないけど、大切な何かを学ぶのは、苦しい時の方が圧倒的に多いんですよ。
たくさん学んで大きく成長した人こそ、本当の幸せを手にした人、ということです。
唯香: 私は今まで、争いがなくて、金銭的にも友達にも恵まれていることが幸せだと思っていたけど、そういうのは本当の幸せではなかったんですね。
加藤: いえ、そうじゃなくて、それは小さな幸せだと思ってください。
小さなことでも、幸せを実感できるのは素晴らしいことです。
それが実感できなくて不満ばかり言っている人も多いですから。
ただね、小さな幸せだけで満足してとどまっていては成長も止まってしまいます。
小さな幸せというのは、大きな幸せに繋がる1つの段階なんです。
唯香: あ、そういうことですか。
加藤: 僕の言いたいことは、「 スピリチュアル 」 と 「 スピリチュアリズム 」 は、共通している部分は多いけれど、こうした根本的なところが違うと言いたいんです。
根本的なところが違うと言うことは、結果的に全てが違うことになります。
地上生活で大切なのは、自分の運気を上げることじゃなくて、人の役に立つことなんです。
ところが、スピリチュアルは他人のことより、自分の浄化、自分の運勢、自分の幸せ、自分の能力、自分の、自分の・・・   ですから。
唯香: そう言われたら、確かにそうですね。
あ、スピリチュアリズムでは、『 アセンション 』 のことはどう言っているんですか?
実は、それが一番聞きたかったんです。
加藤: スピリチュアリズムには 『 アセンション 』 という言葉はないんです。
というより、内容としては、スピリチュアリズム自体がアセンションみたいなものです。
元々アセンションという言葉は、1999年のノストラダムスの大予言が外れた後に出てきた言葉なんです。
唯香: ということは、最近の言葉なんですか。
加藤: そういうことになります。
人間っていうのは、よほど終末に不安を持っているものなんですね。
世の終わりから自分だけが逃れたいと思っている人が多すぎます。
そうした人間心理をマスコミが煽って、人々の興味を引き、商業ベースに乗せていると言っても過言ではないと思います。
1つの終末論が外れると、次の終末論を探し出してきて、それに備えようとします。
そうしたことを話題にすれば儲かりますからね。
マヤ文明の予言なんかもその一例です。
唯香: マヤ文明のことは、テレビの特番で見ました。
その子孫が生き残っていて、その人が言うには、何も起こらないって言ってました。
加藤: 僕も、世の中で言われているような大きな変化は、何も起こらないと思っています。
それと、アセンションという語句は、アメリカのCIAが、言葉というものが世の中にどれぐらい広まるのかを見るために、試験的に使った、 という説もあるぐらいです。
唯香: そうなんですか。
加藤: ニューエイジでは、精神世界が向上することで、誰もが霊能力とか超能力を当たり前に使えるようになる、と言っています。
アセンションの導入期として、直観力に優れた人がどんどん出現しているらしいのですが、そういう人達をインディゴとか神人と言うらしいです。
ニューエイジでは、神人が増えることによって、争いのない平和で調和のとれた世界が訪れる、とも言っているんです。
そして、この神人の数が臨界点に達すると、三次元から五次元へ移行する、つまり、これがアセンションだと言うことらしいんですけどね。
アセンションによって、普通の人が神人になるとも言われています。
もちろん、人によって見解は違うから、僕が今言ったことが全てではないし、正しい理解の仕方かどうかも分からないんですけど。
唯香: へえー、すごいですね。
アセンションでは、2012年の終わりに次元が上昇するって言ってました。
もうすぐですよね。
加藤: そう言われているみたいですね。
でも、それはどうかな。
僕は、最近生まれた子供の大半が、感性の優れた神人だとは思えないし、世の中がそんなに一気に変わるとは思いません。
今まで泥棒を繰り返していた人が、2012年の終わりに神人になったり、それに、普通の人が一気に霊能者になるなんてこと、あり得ると思いますか?
唯香: どうなんだろう・・・ 良くわからないです。
加藤: 「 スピリチュアリズム 」 というのは、イエスを中心に作られた霊団がプロジェクトチームを組んで、人間の霊性が向上すること、魂が成長することを目的として、活動していることなんです。
このプログラムの準備には200年以上の歳月がかけられ、その後、霊団が地上に働きかけることによって、本格的に地上の人間の魂が開花するための運動が始まり、今に至っていると言われています。
唯香: 準備に200年以上もかけているんですか。
加藤: そう言われています。
神の霊力は、魂が成長している人を拠点として広がっていきますから、そうした人が増えれば増えるほど、地球の浄化が進むと言うわけです。
これが本当の地球浄化のプロセスであって、アセンションです。
だから、「 スピリチュアリズム 」 が 「 アセンション 」 そのものだということです。
唯香: ということは、スピリチュアルで言われるずっと前から、 スピリチュリズムとしてアセンションが始まっていたということなんですか?
加藤: ええ、そうです。
それと、アセンションは、地球全体が一気に次元上昇することじゃなくて、1人1人の魂が個々に成長することで、全体が徐々に上昇していくんです。
そして、その成長は切れ間なく、永遠に続きます。
だから、努力もしないのに一気に次元が上昇するなんてことは、あり得ないんです。
唯香: なるほど・・・ そう言われてみると・・・ あり得ないですよね。
加藤: シルバーバーチが言うには、進化霊だけでは何もできないから、地上で手足になって働いてくれる人が必要だと言っています。
霊団の道具となって、霊的真理を1人でも多くの人に伝えて、その人たちの魂を開花させることが人類全体の浄化になるんです。
「 スピリチュアリスト 」 というのは、そうした目的と意義をよく理解して、霊団の手足となって、地球浄化の手伝いをする人のことなんです。
唯香: なんだか、すごいお仕事ですね!
加藤: 魂が開花する人間が増えれば増えるほど、地球の浄化は加速していきます。
そして、他人の成長に携わることで、自分が成長するし、たとえ生きている時に報われなくても死後は必ず報われると言っているんです。
唯香: 他人の成長に携わることが 「 利他 」 ということなんですね。
加藤: そうです、そうなんです!
唯香: 周りの人が加藤さんのことをどう言っているか知ってます?
加藤: 変人でしょ、知ってます。
唯香: みんなに受け入れられなくて、嫌じゃないですか?
加藤: うーん、別に何とも思わないです。
無理に話を合わせようとすると頭が痛くなるから、変人で付き合いにくいという印象を持ってもらっている方がちょうど良いぐらいです。
だって、わざわざ誘いを断らなくても、周りの方が敬遠してくれますから。
回りと同じような享楽的な生き方はしたくないんですよ。
唯香: 私も地球の浄化を手伝えますか?
加藤: もちろんです!
唯香: 何をしたらいいんですか?
加藤: まずは、霊的真理を学ぶことから始めてください。
次に、何でも良いから、人のため、動物のため、自然のため、つまり自分以外のために、自分ができること、正しいと思うことを一生懸命すればいいんです。
知識と実践は両輪ですから、どちらが欠けても成り立ちません。
どちらも大切なんですよ。
唯香: わかりました。
お勧めの本ってありますか?
加藤: 僕としては 『 シルバーバーチの霊訓 』 がお勧めだけど、他にもいろいろあるから、本屋に行って自分で探してみたらいいです。
ただし、本を選ぶのに気を付けなければいけないことがあるんです。
唯香: どこに気を付けて選んだらいいんですか?
加藤: 今から言う事をメモしてね。
まず、 「 利他 」 の大切さを説いているものを探してください。
作者の功績とか、素性を自慢げに表しているものはパスです。
もちろん、現世利益を煽っているものは問題外です。
そうしたものは全てイタズラ霊に影響されていますから。
他にも注意事項はたくさんあるけれど、とりあえずはこんなところで探してみるといいかと思います。
唯香: わかりました。
今から本屋に行って、自分の目で見てみます。
加藤: 今日僕が話したことだけど、納得できなかったら受け入れないでください。
盲信は危険だから、自分でしっかり考えて吟味してほしいんです。
でも、この僕で良かったら、いつでも電話ください。
               
加藤さんと別れてから、唯香はその足で大きな本屋に行ってみた。 そこには 「 精神世界 」 というコーナーが設けられていて、たくさんの宗教書がズラーッと並んでいた。
あまりにも精神世界の本が有り過ぎて、どれが良いのか、どれがイタズラ霊が関与しているのか、なかなか見分けがつかない。
立ち読み程度じゃ見分けるのは難しいのかもしれないな。
一番無難なのは、加藤さんが言っていた 「 シルバーバーチの霊訓 」 かも。
パラパラとめくって中を見てみたら、「 納得のいかないことは受け入れる必要はありません 」 という箇所が目に入った。
あ、加藤さんが言っていたことと同じだ!
確かに、盲信はいけないもんね。
そう考えて、シルバーバーチの霊訓を1冊だけ買ってみた。
とりあえず、これを読んで、分からないことがあったら加藤さんに連絡を取ってみよう。
今まで何も知らなかった私が 「 スピリチュアル 」 を知って、今は 「 スピリチュアリズム 」 に移行しようとしている。
これもアセンションなのかな。
加藤さんって、良い意味での変人だったんだわ。
今日はお話が聞けて、本当に良かった。
明日、美砂にこのことを話してみよう。
どんな反応するだろう。
ちょっと楽しみ。
そう思いつつ、買った本をバッグに入れて家路を急いだ。
唯香は、初めて地に足の着いた感じがしていた。
― end ―
2012 / 12 / 01 初編
2014 / 11 / 02 改編
                










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